2011
2011年は、冬に雨量が多く、春は例年に比べて温暖だったため、高温で乾燥した気候の影響を受けて収穫が9月18日と早めに始められました。開花から成熟にかけてまとまった雨量のおかげで、房が好調に生育しました。9月は日照りが続き降水量がなかったため、シラーにとってはほぼ最高の気候条件となり、タンニンの成熟度と濃厚な円熟の香りに満ちた酸味さわやかさが最高のバランスを保ち、充実した仕上がりになりました。
シラーの畑は、丘陵にあるVigna Lungaで、鉄の残留分で赤みがかったミネラルを多分に含む土地です。
収穫は手作業です。ブドウの房は容量15 kgの木箱に摘み取られたあと選別されますが 、小茎をカットする前と後の二回、二面式選別台の上で選別作業が行われます。そのあと、ブドウは優しく圧搾されます。アルコール発酵は温度を20~26°Cに保ったステンレス製の大樽で一週間かけて行われ、そのあと合計18日ほど浸漬されます。マロラクティック発酵は、始めステンレス製の大樽で行われたあと、トノーや中焙煎の樫の木樽(100%新樽)に移して仕上げになります。それから温度制御された状態で樫の木樽のまま約20か月熟成されます。こうしてさらにボトル詰めの状態で12か月寝かされたあと、ようやく市場に出荷されるようになります。
ワインと美食のジャーナリスト兼プロソムリエ、マッシモ・カステッラーニ氏の編集による
「満面にたたえたルビーレッド、縁周りだけ暗紅色の反射を返し一見底知れないような感触を受ける。芳醇で深みある香りには、強力なインパクトがある。トップノートは赤系色の熟したフルーツ(ブラックベリー、カシス)、それから森の果実のゼリーの濃厚な香り、さらにローズのふくよかなフローラルへと続く。この香りの流れは、バニラのような甘味系スパイスと焙煎系が香りを添え、そこに待望のブラックペッパーも彩を加える。多彩な香りから幅に広がりが出て、そこからぐっと爽快感が高まり、甘草、ルバーブ、ユーカリを思わせるメントール系バルサム質の香りに抜ける。この香りの流れにより、素材を基調としたより一層のフルーティ感が保たれ、ダークカカオ、ロースティングの焦臭が高級感を与える。味わいはフルボディ、口に含んだ瞬間からどっしりとした貫禄がある。程よくアルコール度があり、ヴァル・ディ・コルニアの温かさと海、太陽がサンサンと輝くこの土地の力がはっきり心に浮かぶ。やわらかな丸みは程よい爽快感に支えられ、この存在感に動的な演出が加わる。鉄分による味わいも忘れられない。これは特に後味の良さとして残る。実際、最後口中には、ミネラル、フルーティ感、ペッパーと甘草によるスパイス感が長く尾を引く。貫禄もある反面、バランス的にも充実している。」
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